令和元年
 第2回定例市会 9月議会
平成30年度神戸市各会計決算
[代表質疑]要旨
 令和元年9月議会が、9月18日から10月29日までの42日間の日程で開かれ、平成30年度神戸市各会計決算が審議されました。 自由民主党神戸市会議員団を代表して、山口由美議員(西区選出)五島大亮議員(北区選出)及び、岡田ゆうじ議員(垂水区)は、9月25日の本会議において、市長及び副市長に質疑を行ないました。

[代表質疑]要旨 山口由美 議員(西区選出)

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1.今後の財政運営について

 平成30年度決算は8年連続で財源対策によらず実質収支の黒字を確保しており,財政の健全性を示す将来負担比率や実質公債費比率も政令市の中で上位程度を確保するなど,財政対応力がさらに高まっている。一方で,少子・超高齢社会の進展に伴う社会保障関係費の増加やまちの質・くらしの質の向上に対応するためには,戦略的な投資を行い,域内経済の拡大と税収の増加を図ることが不可欠である。今後の財政運営における投資の基本的な考え方について,見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 まちの質・くらしの質の向上に対応し,スピーディーに戦略的な投資を行うためには,その前提となる政策をいかに形成し,市民の理解を得ていくかが重要である。議会審議も経ながらスピーディーに政策を推進していくことは当然のことながら,さらには,政策決定プロセスの見える化が図られることも重要ではないか。市内部の政策決定プロセスの見える化について,今後どのように進めるのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 一方,RPAの積極的な導入など業務改革や民間活力の導入による歳出抑制をもっと進めていくべきであると考えるが,見解を伺いたい。

2.人口減少対策について

 先般,人口減少対策の第一弾として「リノベーション・神戸」が発表された。神戸のまちの質・くらしの質を一層高めることで,都市ブランドの向上と人口誘引に繋げるプロジェクトであり,今後,第二弾,第三弾の発表を計画しているとも聞く。東京一極集中の是正など,都市間競争が激化する中,今後の展開も含め,人口減少に対する市長の基本的な姿勢を伺いたい。
(議員再質疑1)
 神戸市はかつて女性が憧れるまちと評価されていたが,現在は若年女性の流出が激しいと聞く。再び神戸が女性にとって憧れるまちになるために,20代女性にターゲットを絞る必要があると考える。そのためには,20代女性のニーズの把握,流出の原因を分析するべきと考えるがどうか。
(議員再質疑2)
 人口減少対策の要となる駅前空間の活性化は,伊川谷駅や谷上駅などにおいて,行政主導で進められている。将来的には地域が主体となって継続できる取り組みにすべきであり,周辺地域のニーズ把握と地域と共に進む姿勢が重要と考えるが,どうか。
(議員再質疑3)
 北神急行線の市営地下鉄化により運賃も大幅に引き下げられ,地下鉄沿線の活性化に寄与するものと期待している。さらに,敬老パス・福祉パスについても,現在議論中ではあるが,市営地下鉄として運行されることから,この区間についても敬老パス・福祉パスの適用対象となるものと考えてよいか,見解を伺いたい。

3.今後の医療・福祉施策のあり方について

 現在,一部の高齢者施策における受益と負担の検討を始めており,将来世代の負担を先送りしない姿勢は重要であると考える。今後は,高齢者も含む全ての世代を大切にする,市民が真に優しさを実感できる施策がより重要であると考える。神戸市医師会が推奨するACP(アドバンス・ケア・プランニング)は,もしもの時のために,本人が望む医療やケアを前もって考え,周囲と繰り返し話し合い,共有する取り組みを指す。まずはこの概念を市民に周知し,自らのケアを自らが考えるきっかけづくりを行ってはどうか,見解を伺いたい。

4.共生社会の実現について

 神戸市がこれまで他都市に先んじて取り組んできたことの1つに,共生社会が挙げられる。その象徴であるしあわせの村は今年度開村30周年を迎え,フェスピック神戸大会を契機に,共生社会の実現に向けて,日本を牽引してきた。今後,スポーツを通した共生社会をさらに進めるために,ワールドマスターズゲームズや世界パラ陸上競技選手権大会をどのように活用するのか,見解を伺いたい。

[代表質疑]要旨 五島大亮 議員(北区選出)

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1.幼児教育・保育の無償化への対応について

 幼児教育・保育の無償化により,今後は通年で約22億円の財源が発生すると試算されており,財源の使途については,更なる保育料の軽減など,子育てしやすい環境の充実に向けた取り組みを一層強化すべきと考える。いよいよ本年10月より無償化が開始されることからも,幼保無償化により発生する財源について,どのような使途を検討しているのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 子育て世帯の経済的負担の軽減に向けては,こども医療費助成制度の対象を高校生まで拡大することも有効であると考えるが,見解を伺いたい。

2.神戸市の都市計画について

(1)都市空間向上計画
 神戸市都市空間向上計画については,今年度素案が示されたが,いまだに居住誘導区域と居住誘導区域外の線を引く事に対し,懸念する声を聞く。人口減少社会に対する対策は不可欠であるが,鉄道駅を基点として区域を設定していることから,北区や西区などでは多くの地域が居住誘導区域外となる。居住誘導区域外を設定していない他都市事例は多くあるにもかかわらず,なぜあえてこのような線引きを行うのか,見解を伺いたい。
(2)バランスの取れたまちづくり
 三宮再整備や駅前空間の刷新などにより,まちの質・くらしの質を向上させることは重要であるが,都市のバランスを考慮すると,郊外への空家対策や移転支援による人口減少対策も重要であると考える。例えば,郊外への転入を検討している子育て世帯や新婚世帯に,現行の空家解体費用や引越し費用に対する補助を上乗せする等により,バランスの取れたまちづくりを進めるべきと考えるが,見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 クロススクエアについては,本年7月に大規模な交通社会実験として交通規制を実施し,結果として恒常的な渋滞は発生しなかったと聞くが,市民からは渋滞したとの声を聞いている。将来的には,クロススクエア全体が人と公共交通優先の空間となることを計画しているということだが,今後検討を進めるにあたり,どのように分析し,対策を取っていくのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 神戸空港の規制緩和に伴い,2022年には神戸空港の旅客数は394万人になると推計されており,本市でも将来的な空港利用者の増加を見越した,ポートライナーの輸送力の増強等の対応が検討されていると聞くが,具体的な方針は未だ見えてこない。優先的に取り組むべき施策であると考えるが,今後どのように進めていくのか,見解を伺いたい。

3.神戸市における動物愛護への取り組みについて

 動物管理センターについては,施設の老朽化や狭隘化などから施設のあり方が検討されているところである。社会全体での動物愛護の意識が高まっているなか,京都市の動物愛護センターでは,市民が日常的に動物に触れ合える仕組みを構築し,運営についても民間資金を活用するなど,先進的な取り組みが行われている。先般開催されたしあわせの村のリニューアルに関する有識者会議では,動物とのふれあいを通じた交流機能を新たに整備することを検討しているとも聞くが,動物愛護に関する機能を自然豊かで,多くの人が利用しやすい,しあわせの村へ整備すべきではないか,見解を伺いたい。

4.公会計情報を利用した戦略的な都市経営について

 全国の地方公共団体において,公会計基準を統一した財務書類を作成し,地方財政の「見える化」の実現を目的として,本市でも28年度決算より財務書類を公表しているが,都市経営に十分に活用されているのか疑問である。三宮再整備や公共施設の老朽化などにより,将来的な財政負担の増加が想定される中,財務書類を利用した戦略的な都市経営は必要であると考える。公会計情報を市全体の意思決定に利用可能なツールのひとつにするためにも,今後どのような展開を図っていくのか,見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 公会計制度の先進都市では,固定資産台帳を活用して施設ごとの資産収支を算出し,施設管理に活用していると聞く。公共施設等総合管理計画に基づく施設ごとの維持管理計画と併せて活用することで,施設のあり方や改修について効果的に検証することも可能であると考えるが,早期に実施すべきではないか。

[代表質疑]要旨 岡田ゆうじ 議員(垂水区選出)

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1.市長の教育行政に関する政治責任のあり方について

(1)垂水区いじめ自死事件の再調査結果について
 垂水区で2016年10月,市立中学3年の女子生徒が自死した事件について,本年4月16日,再調査委員会が調査結果を発表した。
 生徒の母親は「最初の教育委員会が設置した第三者委員会の時に,再調査委員会のようなしっかりとした調査が事件直後から行われていたら,2年半もかかることもなかったし,もっと事実が判明したかもしれないし,それを踏まえた加害生徒への指導もできた」とのコメントを公表しているが,これについてどう考えるか。市長の見解を伺いたい。
(2)教育行政立て直しへの市長の関与
 改正地教行法の理念は市長と教委の役割分担にあり,市長を教育行政から排除することを目的としていない。民主的に選ばれた政治指導者が,子どもたちを守り,育て,学ばせることに責任を持つのは当然のことである。
 大津市では市長部局にいじめ対策推進室を設置し,市長自ら市内のいじめ問題に取り組んでいる。また大阪府・市は教育基本条例を策定し,今般吉村知事は市長時代の学テの成績が全国最下位であったため,賞与を返上するパフォーマンスを行った。
 全国規模の問題となった不祥事を起こした神戸市も,市長のリーダーシップで教育行政の立て直しを図るべきであると考えるが,市長の見解を伺いたい。
(議員再質疑1)
 教育次長は議会に対し虚偽答弁をし,文科省の通知に従わない旨を公言し,市長に対しては組体操の中止要請について,「事故が起きたら,そのとき考える」と応じるなど,暴虐無人の振る舞いだが,市長も議会も罷免させることができない。大阪府・市の様に,条例を制定し,教育委員会に対する市長の人事権を強化すべきではないか。市長の見解を伺いたい。
(議員再質疑2)
 組体操をめぐる市長と教育委員会のツイッターのやり取りが,本市の教育行政のガバナンスの現状を示している。
 市長からの教育委員会への要請について,事務局が回答するのは筋が違う。市長と教育委員会の連携を強化する観点から,両者の意見交換の場を増やすべきではないか。
 総合教育会議が昨年度1回しか開催されていないのは何故か。逆に,市の政策会議に教育長はこれまで何回呼ばれているか。
 教育委員会に市民の意向を届けることは重要なことであると考えるが,市長の見解を伺いたい。

2.教育委員会のガバナンスについて

 教育委員会の対応がしばしば市民感覚から乖離しているのは,教育長と教育公務員が民主的に選ばれた市長から独立しており,議会からの身分保障もあり,委員会という自らの議会を持っているからだ。しかし委員会は大学教授,大学学長経験者などで構成され,市井の感性からは程遠く,非常勤であるため事務局の影響下に置かれている。かつ非公開の案件が極めて多く,審議内容,活動内容がほとんど見えてこない。
 このような状況下で,神戸市教育委員会の隠ぺい体質が醸成されている。神戸の子どもの命と安全を守るためにも,教育行政の民主的統制が必要である。教育行政のレイマンコントロール原則について,教育長の見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 神戸市の教育行政の特徴だが,校長の権限が強すぎる。教員人事についてもそうだが,例えば歯科のフッ化物洗口など,新しい政策を進めようとした際,保健福祉局や教育委員会は賛成でも,各校長が反対して実現しない,ということがある。
 地教行法により,校長の任免権を市長や議会が有しているわけではないが,他局の政策の実現にまで抵抗するのであれば,これは教育行政の独立性の枠を超えており,市政展開にとって有害である。
 教育の質の平準化,公平性の確保からも,より教育委員会が教育行政に権限を持てる制度へ改革する必要があるが,教育長の見解を伺いたい。

3.外郭団体の不祥事に関する市の責任について

(1)元お客様サービス担当取締役の人事に関する市の関与
 神戸新交通株式会社の不祥事は,単に一外郭団体の事案という枠を越えて,神戸市全体のあり方,外郭団体も含めた「株式会社神戸」全体の問題である。
 判明しているだけでも,2200万円を超す不正なヤミ手当・ヤミ賞与について,2010年度以降実行役を担ったのは,同社の元常務,そしてその後、お客様サービス担当取締役になった人物である。
 しかし,同氏に歴代最長期間,常務を務めさせ,その後も,同社に新たに労使関係調整を目的とした取締役ポストを創設し,同氏を横滑りで就任させた人事は,神戸市の指示によってなされたことが,本年5月31日の外郭団体特別委員会の答弁,並びにその後の行財政局の説明によって明らかとなった。
 当該人事により,それまで以上に労組の影響力が同社内で不当に強大化し,結果として市民の財産及び本市の交通政策に多大な損害を与える数々の不祥事をもたらす結果となった。
 如何なる意思決定過程を経て,神戸市は当該人事に介入・関与し,これを実行させたのか。詳細を伺いたい。
(2)外郭団体含む神戸市全体の人事政策について
 正直者が馬鹿を見る人事制度ではあってはいけない。真面目に市のために,市民のために汗を流した職員こそ、責任ある地位に就くべきである。これまでの神戸市の人事政策は,ややもすれば強い圧力者,例えば労組委員長であったり,町内会長であったり,そうした人物の顔色をうかがい,市民に害あることであってもとどめず,癒着であっても背任であっても,与えられた数年の任期を唯々諾々とこなしてきた人間ばかりが尊重されて,出世をして来たのではないか。
 今回の不祥事を期に,今こそ人事評価の在り方を、抜本的に刷新をすべきと考えるが,市長の見解を伺いたい。
(議員再質疑)
 依然として同社の総務課には労働組合の幹部が数多く在籍しており,全社員に対する労使関係に関するアンケートを労組の元書記長が配布,回収していたり,同社と労組との間で行われている債務不存在確認訴訟に,会社側の代表として労組の元書記長が出ていたりするなど,同社のガバナンスは崩壊状態にある。
 神戸市の責任で,同社の人事を刷新すべきであると考えるが,市長の見解を伺いたい。

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