平成20年第1回定例市会が、2月21日から3月27日までの36日間の日程で開かれ、平成20年度神戸市当初予算案及び関連議案が審議されました。
2月27日の本会議において、浜崎為司議員(長田区選出)及び橋本 健議員(中央区選出)は自由民主党神戸市会議員団を代表し、市長及び関係当局に質疑を行ないました。
平成20年度神戸市当初予算案 |
予 算 額 [ 対前年対比 ] |
一般会計 7,271億円 [ △ 0.4% ] |
特別会計 1兆 1,111億円 [ △ 8.0% ] |
予算総額 1兆 8,382億円 [ △ 5.1% ] |
■[代表質問]要旨 浜崎 為司 議員(長田区選出)
1.行政経営方針について
1.行政経営方針が発表されて以来,既に4年が経過しており,この間,職員総定数や市債残高の削減などに取り組み,成果を出してきたことは大いに評価する。平成20年度予算においても,新たに市民病院の地方独立行政法人化に取り組み,職員総定数は3,000人の目標に対し,累計で約2,200人の削減を予定している。さらに,市債残高は当初予定した削減目標を6,000億円まで高めるなど,市長のたゆまぬ努力が予算の中に現れているのではないか。市長の2期目の任期終了まで残すところ2年を切り,行政経営方針に基づくこれまでの取り組みをどう評価し,今後,完遂に向けて,いかなる決意で取り組まれようとしているのか,見解を伺いたい。
2.行政経営方針の中で,職員総定数の削減や事業・施設の休廃止などに取り組まれてきたことは評価するが,先の補正予算でみのりの公社に対し,20億円の支援を行うなど,事業を守ろうとしている市の姿勢も見受けられる。資産の有効活用という観点にたった取り組みを強化することも重要な見直しではないか。 そこで,農業公園,フルーツフラワーパークについて,時代に適合した資産活用の検討はいかがか。フルーツフラワーパークは,北区の大沢地区を中心に整備されているため,自然環境としてはすばらしい。高齢化社会が進む中,他都市では都心を離れ田舎暮らしを望む方も多く見られる。そういった方々が,同じ神戸市域の中で,ゆっくりと暮らしていけるような,例えばシルバータウンを民間の知恵と活力を活用する形で,事業転換を図ることも行政経営方針の更なる取り組みになるのではないか。また,農業公園については生産者への補償が必要であるが,比較的,西神住宅団地などにも近接していることから,住宅用地や産業団地にしていくなど発想の転換にたった考え方をしていくべきでないか。行政経営方針のひとつの提案として,市長の見解を伺いたい。
2.神戸2010ビジョン及び区中期計画について
神戸2010ビジョン及び区中期計画について,市長は,必ずやり遂げるとの意気込みであり,平成18年度の検証・評価においては,いずれも2010年に向かって概ね順調に推移しているとのことであった。PDCAサイクルによる進行管理に基づき実施しているが,その中で,各区の特徴的な取り組みを活かすためにも,これまで以上に区の独自性をもっと持たせるような方策を計画の中に位置づけてはどうかと考える。これまで実施したPDCAによる検証・評価をどのようにとらえ,今回の平成20年度予算編成及び組織改正に反映させているのか伺いたい。
また,原油価格の高騰に伴う物価上昇が懸念されることや,食の安全問題など,市民生活に影響を与える昨今の問題も踏まえ,今後の展開を図っていくべきと考えるがどうか。2010ビジョン及び区中期計画の完遂に向けた市長の決意を改めて伺いたい。
3.市民病院の地方独立行政法人化について
1.地方独立行政法人移行後,法人は健全な財政を維持していくことを中期計画に定め,その達成に努めることとなる。行政内部の組織のままでは,法的な制約によって,効率性を発揮しにくい領域でも柔軟な経営が可能となり,例えば,職員の給与水準や採用形態の整理が行われる。危惧するところは,優秀な医療スタッフが今後法人採用において確保していけるのかという点である。全国的な医師不足,看護師不足の中で,優秀な人材の確保をどのように行っていくのかという課題は,今のうちから戦略をもって取り組んでいかなければならない。そこで,地方独立行政法人化の移行後の職員の質の確保について,どのような方策があるのか,見解を伺いたい。
2.神戸市では,各病院・診療所との役割分担と連携によって,市民に医療サービスを提供してきたが,その中で,行政が運営してきた中央市民病院・西市民病院が平成21年度に独立行政法人化を迎えようとしている。移行後も病院間の連携が維持され,市民に対する適切な医療提供が確保されるのか,危惧するところである。神戸市内の病院間の役割分担を再度明確にし,連携強化を図った上で,独立行政法人への移行をすべきであり,円滑な移行に向けた取り組みが平成20年度の大きな課題の1つではないか。あわせて,地方独立行政法人化後も,これまでどおり,これまで以上の医療提供の確保がなされていくことを,市民に十分に広報することによって,市民の不安解消につながるのではないか。こういった取り組みを着実に行い,市民理解が得られてこそ,市長の行政経営方針の完遂となると考える。法人化移行後のことを視野に入れて,地域医療,高度医療,さらには救急医療について,病診病病連携の強化を図り,市民を安心させる取り組みを進めるべきと考えるが,市長のご見解をお示しいただきたい。
4.都心・ウォータ ーフロントのグランドデザインについて
ハーバーランド・メリケンパークからHAT神戸及びポートアイランドを含むこれらの地域を個別に整備するのではなく,全体として一体的な整備を行い,誰もが一目で神戸だとわかるシンボルの配置やデザインを形成することで,神戸のまちの魅力が高まっていくのではないか。
まちの魅力化は,都市間競争に勝ち残るための重要な要素であり,そのためにはグランドデザインの策定が不可欠である。
ウォーターフロントは,みなとまち神戸を代表する神戸市民の財産であり,この地域をさらに活性化することで,これまで以上に市民が訪れ,憩うことのできる場となるようなグランドデザインを描くべきである。
また,観光客からの視点やユニバーサルデザインにも配慮し,誰もが訪れやすくするための工夫も必要である。
今後,どのような考え方でウォーターフロントのグランドデザインを描き,またそれをどのように活用していくのか,市長の見解を伺いたい。
5.企業誘致の推進について
企業誘致の推進にあたっては,「神戸エンタープライズプロモーションビューロー」の創設,産業の基盤整備への取り組み,神戸空港の開港やインセンティブの活用によって,設立当初に掲げた「3年間で50haの産業用地を処分する」という目標も後わずかで達成できる見込みとなった。
昨年の11月には,神戸テクノ・ロジスティックパークで10haを越える大規模用地の売却が決定されたことなどに加え,「次世代スーパーコンピュータ」の立地や企業立地促進法の制定といった企業誘致を進める環境も充分に整ってきた。この機を逃さずに,新たな企業誘致戦略を掲げて邁進していくことが,さらなる神戸経済の活性化を促すことになる。当初目標の50haという産業用地の処分の達成を間近に控え,今後どのような戦略で企業誘致を進めていくのか,市長の決意を伺いたい。
6.空港島への企業誘致促進について
神戸空港が開港して丸2年が経過し,本年度の旅客数は前年度比で約1割増加している。関西3空港の中では,唯一旅客数が増加しており評価しているが,一方で,空港島の企業誘致は厳しい状況にある。
昨年4月からのインセンティブ策の導入もあり,西緑地へのワールドブライダルの進出や小型航空機能用地の公募が始まったが,総合物流施設用地の処分見込みはどうか。新聞紙上によると,進出企業が物流拠点とすることを検討しているようである。機材の小型化の影響もあり,航空貨物の取扱いが伸び悩んでいるが,神戸空港の立地・利便性を活かし,ターミナルに近接した総合物流施設用地へのより積極的な企業誘致に取り組み,神戸空港を総合物流拠点の1つと位置づけるべきと考えるが,市長の見解を伺いたい。
7.中小企業振興策について
団塊の世代の定年退職と少子化の進行があいまって,労働市場がますます売り手市場となっている中,中小企業事業者が抱える人材不足の問題が深刻化している。
このままでは,後継者不足によって,神戸市の地場産業の衰退を招きかねないかと危惧しているところである。
そこで,バブル崩壊以降の就職氷河期に就職時期を迎えた若者の中に,未だ安定した職業についていない人が多くいることに着目し,このような人材にスキルを身につける場を提供し,また,既存のスキルを活かし,伸ばしていけるような取り組みを進めることで,効果的な中小企業とのマッチングが可能となるのではないか。
ケミカルシューズをはじめ,神戸の魅力ある地場産業を後世にも残し,神戸の魅力を維持していくためには,市としても,中小企業事業者に対し,人材不足の解消を促すような支援を何らかの形で行っていく必要があると考える。市長の見解を伺いたい。
■[代表質問]要旨 橋本 健 議員(中央区選出) ■
8.敬老パスについて
問題にすべきは,短期間の間に十分な議論がなされていない中で,この案件が進んでいることである。
また,我々が提出した申し入れ書には第1に「できる限り利用者の負担が軽減されるよう,さらに民間バス事業者との交渉にあたること」を明記している。
第2の低所得者対策,第3の高頻度利用者対策には一定の見解を提示されたが,第1の部分については見解をいただいていない。
例えば,交通事業者との更なる交渉によって利用者負担を100円より安くする方法はないのか,議論は尽きたとは思えない。
そもそも本制度は条例に基づいて実施されているものではなく,議会での議論が非常に困難である。
我々が審議できるのは,予算として敬老パスに計上されている約35億円についてであり,利用者負担金について我々がその決定に関与することは手続き上,不可能である。
市民生活に多大な影響を与える事案について,事前に協議があって然るべきである。
市長は引き続き市民,議会に対して,理解を強く求めていく必要があると考える。交通事業者との交渉経緯・結果も含め,市長のさらなる説明と見解を伺いたい。
9.教育について
最近,教育に関する話題が溢れており,特に「ゆとり教育」の反省から「脱ゆとり」を謳った新学習指導要領案が報道されるなど,市民の関心が「教育」に集中している中,神戸市における教育への取り組み,その方向を確認したい。
本市では18年度より「わかる授業」の推進事業が実践されている。
その評価方法の1つとして,子どもたち自らが授業をわかったか否かのアンケートを実施しているが,これだけで,客観的な評価は十分とは言えず,全国学力調査の結果に対する考察も重要だと考える。
18年度のPTAに対するアンケートでは,保護者が学校教育に望むことの1位が教育の資質や指導力の向上,2位が学力の向上となっており,市民の求める教育を実践するには,これらを課題にすることが不可欠だと考える。
同様の課題に取り組んだ和田中学校では,民間人登用された校長がリーダーシップをとり学力向上をはじめ,学校を核とした地域組織づくりに成功している。
近年,公立学校に求められる多様なニーズに答えていくためには,今までにない発想とリーダーシップを持った人材が教育現場に必要と考える。
全国に102名の民間人が校長に登用されているが,県下では1名登用されているのみである。
神戸市でも民間人を校長に登用し,市内のモデルケースとなるような学校を作っていく必要があると考えるが,見解を伺いたい。
10.救急医療の確保について
医療産業都市構想の推進の可能性には,非常に大きな期待を寄せているが,中央市民病院の移転に多くの問題を抱えていることも事実である。
市民や地元医師会の危惧する問題点はしっかりと解決させなくてはならない。
医療産業都市構想の推進は構わないが,問題は,市民病院の使命が,市民に対する最低限の医療サービスを確保しなければならないという点である。
市は西市民病院も含めた市民病院群としてのサービス維持を主張されるが,その西市民病院においても24時間救急が困難な状況にある。
また,中央市民病院の移転に伴う病床減により,救急受け入れ能力が維持できるのか疑問が残る。
多くの民間二次救急病院がキャパシティを超える搬送,受け入れに音をあげる一方,救急医療を民間に任せ,市民病院が医療産業都市構想に目を向けることを喜ばしく思っていない現状がある。
何より受け入れ拒否,たらい回しなどの被害を受けるのは市民であることを忘れてはならない。
来年度,市は二次救急病院への取り組みとして,約900万円の増額を計上しているが,各病院へ配分すれば雀の涙となり,予算配分だけでは解決しないところまで,システムが崩壊しつつある。
初期救急・二次救急・三次救急それぞれの役割を再認識し,システムの再構築を行わなければならない時期に来ていると思うが,本市としてどのように取り組むのか伺いたい。
11.歯科医療への取り組みについて
1.本市では,40歳の時点で歯周疾患検診を市内の指定医療機関で無料受診できる。歯周疾患は近年問題となっている糖尿病との関連も強く主張されており,国民医療費抑制のための予防医療施策としては極めて重要なものである。今後,多くの市民に受診していただくためにも,この年齢枠を拡大する必要があると考えるが見解を伺いたい。
2.また,4月より生活習慣病対策の1つとして行われる特定検診の中に歯科に関する事項が含まれていないが,検診後の学習教材の中には歯周病に対する指導も含まれている。そのため,他の自治体の中では,問診時に歯科に関する項目を追加した様式を採用するなど各国保団体で独自の工夫がなされている。神戸市国保においても,次期制度の見直し,再評価の際には歯周疾患のスクリーニングが実施できるような工夫が必要だと考えるが見解を伺いたい。
3.県の財政難により,様々な県市協調事業の継続が不安な状況である。先ほど,救急医療の確保について聞いたが,例えば,歯科救急医療についても同様の不安は拭えない。本市として,県との協調事業について,しっかりとした議論ができているのか,併せて伺いたい。
12.神戸空港の活性化について
1.神戸空港の開港から2年が経過し,収支も安定してきたが,スカイマーク羽田便の減など不安要素もあり,引き続き路線の確保,利用客の増に努めなければならない。その中で,修学旅行生をはじめ団体旅行の受け入れに力点を置く必要もあり,空港ターミナルビルに,団体の集合場所に利用できる空間を新たにつくるなど,その受け入れを容易にする工夫が必要と考えるが,見解を伺いたい。
2.海上アクセスについては,駐車場無料などの施策で乗客数が上昇したと聞いている。その中で,来年度予算案には,リース船の購入費用として3億9千万円,事業推進として約2億円を計上しているが,将来の経営見通しに目を向けないわけにはいかない。本市が経営改善に苦戦している事業であるが,一方で,関西国際空港利用促進策,いわゆるアクション50にも,このベイシャトルが入っており,関西圏3空港一体の中で,神戸空港が協力しているものである。ここまで経営難に悩まされながらも,この関係を維持する必要があるのか。経営再建努力は当然のことではあるが,加えて,この連携を強く活かすためどのような努力をされているのか伺いたい。
13.商店街の活性化について
マンション建設のラッシュにより人口増加の傾向にあるものの,大型店舗の相次ぐ出店などで地元商店街を利用する機会はそれほど増えていない。
さらに,深刻な問題がシャッター通りと呼ばれる空きテナントの増加であり,それが軒を連ねることで,客足が遠のき,新規出店も敬遠されるという悪循環が存在する。
市も商店街振興組合等の取り組みに対し補助金を交付するなど対策を講じているが,民間財産である商店そのものに対して,行政として取り組める範囲には限界がある。
依然として問題解決に至らない商店街が多く存在しており,放置できない問題と考える。
この困難な問題に対し,どのように考え,どのような対策を講じるべきと考えているのか,見解を伺いたい。
14.ポイ捨て禁止条例について
平成9年に「ぽい捨て禁止条例」を制定し,これまで地域との協働による美しいまちへの取り組みを進めてきたことは大いに評価するが,未だ,たばこのぽい捨てが横行しており,美しいまちづくりへの意識が市民に浸透していないのが実態ではないか。
今回,上程されている「歩きたばこ禁止条例」は過料を徴収するなど,実効性のある喫煙マナーの普及を目指すもので,その効果が期待されるところである。
しかし,本当に美しいまち神戸を築きあげていくには,単に行政が禁止地区を定め,それを守らせるだけでは十分ではない。
「歩きたばこ禁止条例」をきっかけとした市民への啓発を単に進めるのではなく,例えば,歩きたばこ禁止地区と地域の美しいまちへの活動をつなげるような仕組みづくりを行うことなど,市民の心の中に響く意識改革が必要であると考えるが,見解を伺いたい。